『モノノ怪』一風変わった和風ホラーが観たければ確実にこれ。圧倒的な世界観に呑まれよう。(感想/レビュー)

『モノノ怪』一風変わった和風ホラーが観たければ確実にこれ。圧倒的な世界観に呑まれよう。(感想/レビュー)

アニメ 全12話(完結)

マンガ 既刊8巻(完結)

 

これはね、やばいよ。本当に強いやつ。
15年前にアニメ放送された作品だけど、この雰囲気は未だに唯一無二。

ゾクッとするような和風ホラー、独特で美しい作画、カッコよすぎる薬売りさん。

 

アニメ

監督 中村健治 氏
制作 東映アニメーション

マンガ
作画 蜷川ヤエコ 氏
出版 スクウェア・エニックス

 

 

あらすじ&どんな作品?

主人公の 薬売りさん が モノノ怪 を退治するお話。

薬売りさんは 退魔の剣 なる悪趣味な装飾が施された変な剣を持っており、この剣を鞘から抜くには、モノノ怪の形、真、理、を知る必要がある。

1話完結ってわけでは無いけど、2~3話かけて1つの物語が完結するスタイル。

アニメ・マンガ共通して、「座敷童子」「海坊主」「鵺」「のっぺらぼう」「化猫」の5つのパートに分けられる。

 

 

この作品最大最強の魅力、薬売りさん

本作の主人公、薬売りさんは名前のとおり普通に薬を売ってる薬師。

CVは櫻井孝宏氏。まじで“ 良い”。

薬売りさんは本名も年齢も素顔も不明。作中でも何も明言されず、本人曰く「人間」らしいが、その他全てが謎。

見た目はとんでもねぇ美形。
肌は白く、顔には隈取りのような厚化粧、長くて尖った耳、犬歯は大きくて鋭い牙のよう、他の登場人物とは一線を画す外見をしている。
本人曰く「人間」らしい。

その他にも色々な特徴があって、退魔の剣を抜刀すると姿が変わったり、時代が移り変わっても見た目がそのままだったり、とにかく謎。謎しかない。本人曰く「人間」らしい。

謎多きイケメンはオタクに刺さる。まじで。本当にかっこいい。

 

他に類を見ないような独特な作画

1話目の「座敷童子」冒頭にある雨の表現から既にやばい。

かなり人を選ぶ、好き嫌い別れるような作画だと思うけど、個人的にはめちゃくちゃ好き。
一発目から呑まれてしまった。

私の語彙力で表すのが難しいけど、例えるなら和紙に描いたような、柔らかくて優しいけど有無を言わせぬ迫力がある、そんな印象を受ける。

そして物語の大詰めに出てくる、モノノ怪を退治する戦闘シーン。

本っ当に美しいね。難しいこと考えずに はえー って見てしまう。
色彩すらも独特で、全てが煌びやか。
姿が変わった薬売りさんも相まって芸術的な美しさ。
個人的には鵺を退治するところが大好き。

 

 

刺さる人には深く刺さる、多くを語らぬ世界観

世界観はそれなりにシンプルで説明とか無くても理解しやすいけど、モノノ怪に関する描写はけっこう行間を読む必要があると思う。

全体的に説明は少ないし、キャラクター同士の掛け合いが特別多いわけでもない。
耳から入ってくる情報が少ない代わりに、画面から入ってくる情報が多いからこれまた面白い。

この表現が適切かは分からないけど、かなり映像的な作品って印象。

キャラクターの表情や、セリフの「間」、静と動、その辺の噛み合わせが抜群に上手いなっていう素人目線からの感想。

アニメだと効果音等も合わさって更に良い。

ちなみに、じゃあマンガだと微妙なのかって話になるけど、そうではない。
こちらもめちゃくちゃ良い。

まずアニメに劣らぬ作画。これまじでやばい。
本当に映像そのまま描き起こしました!ってレベルのクオリティ。
シナリオの付け足しとかもせず、アニメを忠実に再現。

そのまんま「映像を読んでる」感じ。

つまり、どちらでも好きな媒体で観ましょうって事。

私はアニメで観た後、マンガも全巻揃えました。最高でございました。ごち。

 

形、真、理、真相を紐解いていくのがまじで面白い

そもそも本作中におけるモノノ怪ってのは、人間の負の感情や情念が人ならざるものとくっついてしまった結果、産まれるものらしい。

事の真相、つまりモノノ怪の正体を追求しないと退魔の剣を抜けないってことで、登場人物達の人間関係や、その根底にある事件の真実を薬売りさんが暴いていくわけよ。

まあ最終的に人間の愚かさ、醜さって部分に辿り着くんだけど、この辺の「あぁ、こいつまじで終わってんな」感が最高に好き。

個人的な推しは「海坊主」のお話。

 

本作と併せて観ておきたい 『怪〜AYAKASHI〜』

実は本作の主人公、薬売りさんはモノノ怪より前に放送していた作品『怪〜AYAKASHI〜』の登場人物。

『怪〜AYAKASHI〜』はモノノ怪と似たような和風ホラー作品で、同じく数話で1つの物語って感じで構成されてる。
その最後の物語、『化猫』の主人公として登場したのが薬売りさん。

モノノ怪にも『化猫』ってタイトルの話があるから、前日譚化猫とかって呼ばれているらしい。

どちらの化猫も毛色が違った話になっていてめちゃくちゃ面白いので要チェック。

ちなみに前日譚化猫で登場したキャラクターが、本編の「海坊主」で主要キャラとして再登場するので、まじで観ておいて損ないぞ。

 

2023年、まさかの映画化

誰もが驚いた15年の時を経た映画化。
こんなに嬉しい事があるのか、と。
まじで“ アガった”ね。

まあでも、そんなに特別な事しなくてもいいんじゃないかなって思ったりもする。
いつも通り、クールでバチバチにかっこいい薬売りさん+美しい作画が観られれば個人的には大満足。

発表した際に、アニメを担当していた作画監督さんが続投しないってことで軽く小火があったみたいだけど、まあ落ち着いていこう。

確かに悲しいことだし気になる部分ではあるけども、とりあえず再び薬売りさんと会える事の喜びを享受したい雰囲気。

その上で作品を観て、つまらなかったら正当な場でそれなりの評価をすればいいだけ。
同士よ、鎮まれ。

作品が無事公開されることをひたすらに祈っております。

 

まとめ

・美しい、クール、ミステリアス、こんな感じの主人公をお求めの人におすすめ。

・じわじわとにじみ寄るような和風ホラーを観たいにおすすめ。

・人間の愚かさ、醜さをお求めの人にもおすすめ。

とりあえず全人類におすすめ。

この作品まーじでおもろいです。

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